質問は聞き取れました。何を言いたいかもわかっています。でも、いざ答えようとすると言葉が出てきません。頭の中で文を選んでいるうちに、相手は別の話を始めてしまいます。
帰り道になると、答えが浮かびます。「ああ、こう言えばよかったんだ」。難しい単語が必要だったわけでもありません。すでに知っていた表現です。
そんな場面が続くなら、「もっと英語を勉強してからでないと話せない」という考えを、少し脇に置いてみてください。英語を知らないことと、知っている英語が会話の中で出てこないことは、別の問題です。 今必要なのは、最初から勉強し直すことではなく、すでに持っている英語で話してみる時間かもしれません。
会話の後に浮かんだ言葉も、自分の英語です
1人なら作れた文が、人の前でだけ出てこないとしたら、何が違ったのでしょうか?
会話では、相手の話を聞きながら答える内容を選び、表現を探して、その場で話す必要があります。本を見て正解を選ぶときとは、状況が違います。そこに「間違えたらどうしよう」という気持ちまで加わると、知っている文も口にする前に止まってしまいます。
そのたびに知らない単語を増やすだけで解決しようとすると、本当に言いたかったことを話してみる時間は、いつまでも後回しになります。知っている表現を使ってみる練習も、勉強の一部にしてほしいのです。
もちろん、必要な表現を本当に知らないこともあります。そのときは調べて学べばよいのです。ただ、一度会話に詰まっただけで、自分の英語は何もかも足りないと結論づけないでください。後になって浮かんだその簡単な文から、次の会話で使ってみましょう。
思った以上に、簡単な英語でいろいろな話ができます
英語が上手な人は、難しい単語や長い文を使うものだと思うかもしれません。伝えたい考えは複雑なのに、自分が知っている英語は簡単すぎるように見えるからです。
「99%の場面は、中学校で習う程度の英語ですべて説明できる。」
これが、この記事で伝えたい私の考えです。会話を始めるために、私たちが思うほど難しい英語が必要なわけではありません。大切なのは、母語で浮かんだ考えを、そのまま1つの英文にしようとしないことです。
例えば、会議で「検討する時間が足りないので、予定を少し延期したい」と言いたいとしましょう。
“We need more time.”
“We need to check a few things.”
“Can we do it next week?”
時間が必要なこと、確認したいことがあること、来週を提案していることが伝わります。長い文を完成させようとして何も言えずにいる代わりに、短い3つの文で会話に参加できたのです。
正確な用語や細やかな説明が必要な場面では、さらに学ぶべき英語もあります。それでも、そのような場面が来るまで、すべての会話を先延ばしにする必要はありません。今知っている言葉でまず説明し、相手の質問を聞きながら必要な内容を付け加えればよいのです。
簡単な英語を使うことは、考えを小さくすることではありません。自分の考えを相手に届ける方法です。
文法は練習で磨き、会話ではまず話してみましょう
文を言い始めようとして、時制が合っているか、冠詞を入れるべきかを確認したことはありませんか? 頭の中で確認を終えたころには、話す順番が過ぎていることもあります。
母語で話すときも、私たちは1文ずつ文法を確認するわけではありません。途中で言い直したり、単語1つで答えたりもします。それでも、相手の言いたいことを聞き、笑いながら会話を続けます。関心が文の形よりも、お互いの話に向いているからです。
英語で話すときにも、その余裕を少し持ってみてください。文法はレッスンや復習で少しずつ磨き、会話の間は、完璧な文ができるのを待つより、言いたいことをまず口にすることに集中してみましょう。
文法を知らなくてもよいという意味ではありません。会話と修正の順番を分けてみよう、ということです。まず自分の話を最後までしてから、より正確で自然な表現を学ぶことができます。
先生に、こうお願いしてもよいでしょう。「今日は、まず最後まで話してみます。話した後に、一緒に直してください」。意味が違って伝わったところはその場で確かめつつ、小さな間違いのたびに会話を止めない進め方です。
1人で練習するときも、最後まで話してから、もう一度表現を整えてみましょう。
言葉に詰まったら、簡単な言い方でまた始めれば大丈夫です
話している途中で単語が浮かばなくても、会話を終える必要はありません。正確な名前を知らないなら何に使うものかを説明し、長い文が難しければ、考えを分けて話してみましょう。
考える時間が必要なら、“Let me think for a moment.” と言えます。質問を聞き逃したら、“Could you say that again?” と聞き返せばよいのです。
こうした表現は、会話が苦手だから使う言葉ではありません。お互いの意味を確かめながら、話を続けるための言葉です。
最初の目標が「一度も間違えずに話すこと」だったなら、「詰まっても、自分の話を最後まで伝えること」に変えてみてください。単語が1つ見つからなかった瞬間より、別の言い方で説明して伝わった瞬間に目を向けてみましょう。
今日は、話したかったことを1つ口にしてみましょう
大きなテーマを用意しなくても構いません。今日のお昼はどうだったか、どうして仕事が忙しかったか、週末に何をしたいか。今、誰かに話したいことを1つ選んでみてください。
最初は辞書を開かずに、知っている英語で最後まで話します。途中で文法が気になっても、まず話を終えてみてください。その後で、どうしても必要だった表現を1つ調べたり、不自然だった文を1つ先生と直したりします。
そして、同じ話をもう一度します。最初より凝った文でなくても大丈夫です。話し始めるときのためらいが減ったか、理由を1つ多く付け加えられたか、詰まった後にまた続けられたかを見てみましょう。
勉強するときは、表現を増やして正確さを磨く。会話するときは、その英語で自分の考えを伝え合う。両方の時間を持てばよいのです。
英語がもっと上手になるまで、話すのを待たないでください。すでに知っている英語で、今日言いたいことから話してみましょう。
