学習法
英語の勉強、なぜしていますか
スコアや昇進の裏にある、本当の理由についての話です。言語を学ぶ目的がはっきりすると、学び方も変わります。

レッスンを始める方に、最初にお聞きする質問です。返ってくる答えは、たいてい似ています。
「昇進に必要で」「転職したくて」「子どものために」
ところが数か月ほど経ってから同じことをお聞きすると、答えが変わっています。
「旅行先で現地の人と話してみたいです」「会議で自分の意見をきちんと言いたいです」「好きなドラマを字幕なしで見たいです」
先の答えが嘘だったわけではありません。あとの答えが、もともとあった場所に戻ってきただけです。
試験の英語と言語とでは、目的が違います
スコアのための英語には、はっきりした終わりがあります。目標点を超えれば終わりです。だから効率的です。よく出る型を覚え、間違える問題を減らせばいい。
問題は、そのやり方が 話すことにつながらない ことです。正解を選ぶ訓練と、自分の文をつくる訓練は、別の能力だからです。900点を取っても最初の一文が出てこない、ということがよく起きるのはそのためです。
言語の本来の目的はスコアではなく、つながること です。違う言語を使う人と話し、その人が何を考えているのかを知り、自分が何を考えているのかを伝えること。その目的から近づくと、学習の基準が変わります。「この表現は試験に出るか」ではなく「この言葉を言いたいか」が基準になります。
目的が変われば、方法が変わります
目的をつながることに置くと、自然についてくる変化があります。
完璧を待たなくなります。 通じることが目標なら、文法が少し間違っていても伝わったなら成功です。この基準ひとつで、話せる量が何倍にも増えます。
聞き方が変わります。 書き取りの対象ではなく、人の話として聞くようになります。相手が何を言っているのかに集中すると、不思議とよく聞こえるようになります。
続くようになります。 試験は終われば止まりますが、話したいことはなくなりません。続ける理由が残ります。
「世界が広がる」ということの、実際
英語ができると世界が広がる、という言葉はあまりによく耳にするので、輪郭がぼやけてしまいました。具体的に書くと、こうなります。
日本語で検索して出てくる結果と、英語で検索して出てくる結果とでは、量が比べものになりません。関心のある分野の最新の資料は、そのほとんどが訳されないまま置かれています。旅先で現地の人と交わす短い会話ひとつが、その街の印象をまるごと変えます。他の国の人が同じ問題をどう抱えているのかを知ると、自分の問題を見る視野も変わります。
言語をもう一つ持つということは、話せる相手の数が増えるということです。 それがすべてであり、十分な理由です。
ですので、もう一度お聞きします
英語の勉強、なぜしていますか。
昇進やスコアでもかまいません。始めるときには、むしろそういう理由が役に立ちます。ただ、勉強が退屈になってきたころに、その裏にあった理由を一度取り出してみていただけたらと思います。
誰と、どんな話をしたいですか。 その答えがはっきりしている人は、長く続きます。